武尊選手を襲ったパニック症が悪化した理由をプロのカウンセラーが解説
先日あるTV番組で、K-1 WORLD GP3階級王者の武尊選手が、自らのパニック症について孤独に戦っていた日々を語っていました。
私と武尊選手はまったく接点はありませんが、K-1 が始った1993年の当初から大好きなのでこの記事を書きたいと思った次第です。
その武尊選手のパニック症について私なりに以下のことをわかりやすく解説していきたいと思います。
なぜパニック発作が起こってしまったのか?
そしてなぜどんどん悪化してしまったのか?
今までパニック症のクライアントさんにカウンセリングやセラピー(療法)をさせていただき解決してきたことと、何より私自身もパニック症経験者でしたので、その経験を元にこの記事を書いていきます。
パニック症について
パニック発作が起こる「これだ!」という根本的な原因は、まだ解明されていないみたいですね。
2024年7月現在、ネットで調べてみるとAIが以下のように言っています。(一部を掲載しています)
パニック発作の原因には、遺伝的要因や環境的要因が関係していると考えられています。過労やストレスが原因で、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで発症すると考えられています。強いストレスを感じると、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が増加し、神経が異常に興奮してしまいます。また、ストレスの蓄積により情報の処理ができなくなることや、行動を制御することが困難になることで、ストレスや不安がさらに増幅する悪循環が起こるとも考えられています。
パニック発作って何?
パニック発作をそれほど詳しくない方もおられるかもしれませんので簡単ですが解説していきますね。
何の前触れもなく突然以下のことが起こります。
・心臓の鼓動が異常に早くなる(動悸)
・体の震え
・体に力が入らなくなる
・息苦しい又は過呼吸
・冷や汗
・胸部や腹部の不快感
・吐き気
・意識を失うような感覚
・強烈な恐怖心と不安
この症状は私のところにパニック症でご相談に来られた方たちを参考にしています。
このようにパニック症の症状は
意識ではコントロールができない領域
だからこそ症状が治まっても、その後強烈な恐怖心と不安感がもれなく紐付いてしまうのです。
なぜパニック発作が起こってしまったのか
武尊選手のパニック発作が起こってしまったと考えられる原因として、テレビ番組でお伝えしていた通りだと私も考えています
主に3つですね。
①ストレスが見た目以上にたまっていた
②思いやりある優しい性格
③幼少期のトラウマ(閉所恐怖)
TV番組でお伝えしていたのであえて解説はしませんね。
武尊選手はなぜ悪化してしまったのか?
さてここからが、超重要ポイントになります。
私の考えで恐縮ですが、パニック発作が最初に起こったことよりも、悪化していってしまったことが一番武尊選手を苦しめたのではないでしょうか・・・。
もし悪化せずに過ごせたとしたら、どうでしょう・・・
ここまで苦痛に耐える毎日は避けられたかもしれませんね。
悪化してしまった理由
もし武尊選手が一般人だとしたら、ここまで症状が酷くなってなかったのではないかと私は推測しています。
有名人になって「キャーキャー」されたことがないのでわかりませんが・・・。
人生1度くらいは女子から「キャーキャー」されたかったです→これ本音(笑)
冗談はこれくらいにして本題に戻ります。
悪化していったいくつかのポイントにわけてこれから解説していきますね。
私なりに分析した結果、大きく分けて4つあると考えています。
最初のパニック発作
パニック発作は人によって症状の出方やその強度、感じ方、捉え方が異なってきます。
そして、私がパニック症のクライアントさんにカウンセリングをさせていただいたときによく以下の言葉を耳にします。
「コントロールが不能で死ぬかもしれない」➡この想いが恐怖心と不安感を強める
武尊選手の場合、最初のパニック発作が出る前から、かなりストレスフルな毎日を送られていたみたいなので、TVで見る限り症状がかなり強烈に出ていましたね。
症状が強く出るとそれに並行して恐怖心と不安感を植え付けられて、それがトリガートラウマとなってしまう。
トリガートラウマとは私が作った造語です。
ある一つのことに対して、心が必要以上に反応してしまいネガティブな感情を自然と感じてしまう。
酷くなると悪夢やフラッシュバックが起こることもあります。
格闘技の選手だと悶絶するような強烈なパンチをボディーにまともにもらい、KOどころか呼吸困難になり病院送りにされてしまった。
その結果、今ここで起こってもないのにその苦しかった瞬間を思い出すと恐怖や不安が襲ってくるみたいな感じです。
トラウマを詳しく知りたい方は以下の記事を参考にできます。
「身体感覚と感情のコントロールが不能で死ぬかもしれない」→この想いが強烈過ぎて恐怖心と不安感を強めてしまった。
予期不安でストレス倍増
パニック発作が起こった後、ほとんどの方が多かれ少なかれ、以下のことに囚われます。
「またパニック発作が起こったらどうしよう」
いつ・どこで・どのように起こるのかわからない
それがまた恐怖心や不安感を非常に強めてしまう。
まして武尊選手の場合、公の場に出ることがあったり、たくさんの人の前で試合するわけですよね。
その状況を想像すると公の場や試合前又は直前、試合中などは絶対にパニック発作は出て欲しくないというより
絶対に発作を起こしてはいけない
そう考えると想像を絶する恐怖心・不安感と24時間戦っていたのではないかと思っています。
いくら強烈なパンチやキックをクリーンヒットさせても全く効かない。
もしあなたがこの状況だとしたら、どうでしょうか・・・?
これってめちゃくちゃとんでもないストレスですよね。
このストレスがパニック症を悪化させてしまった大きな一つの要因だと私は感じています。
絶対にパニック発作は起こしてはいけない→この想いがパワフルであればあるほどストレスが強力になっていく
孤独な毎日
マジでしんどいとき、辛いとき、苦しいときって誰かに寄り添って欲しくないですか?
そんなあなたのことを理解してくれる心優しい方が一人いるだけでもすごく救われる気持ちになりません・・・
私なんて怖がりで小心者ですので、そんなときは優しく見守り、寄り添って欲しいです。
武尊選手は、誰にも知られることなく自分一人でパニック症と毎日戦っていたみたいなので、どれだけ孤独で不安だったかは本人に聞いてみないとわかりませんが、そのストレス値は想像の域を遙かに超えていたのではないかと推測できます。
心が弱っているとき不安が強まり孤独であるとストレス値がさらに高まる傾向にある
那須川 天心戦に向けて
あふれ出てくるストレスがある毎日の中、武尊選手は団体の枠を超えて、天心戦に向けて行動していたにも関わらず、心ないファンから「天心から逃げてんじゃねえ―」と1日考えられないほどの誹謗中傷・・・。
事実とは違う誹謗中傷を毎日受けて
「お前らぜんぜんわかってねえ、違うよ、俺は逃げてなんかない、今天心戦に向けて準備してんだよ」
「オレはパニック症の恐怖に毎日怯えながら、天心戦に向けてできることをしてんだよ」
「俺のことぜんぜんわかってもないくせに勝手言ってんじゃねえよ」
武尊選手の本心はこんな気持ちだったのではないでしょうか・・・
もしあなたがこの状況だったとしたら、すげー悔しくないですか?
たとえると「冤罪、濡れ衣を着せられる」に似たような扱いを受けて、世間から「逃げてんじゃない」ってバッシングされる。→これ悔しいしめっちゃストレス倍増!
以上が武尊選手のパニック症が悪化していってしまった道筋ではないかと推測した次第です。
あくまでもこれはSTMカウンセラー杉田の価値観ですのでご了承ください。
パニック症について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧いただけます。
このページは私が2018年に書いたパニック症の解決方法やクライアントさんの体験談などもご紹介しています。