社交不安障害(対人恐怖症)実際に行ったカウンセリング実例を解説
【社交不安障害(対人恐怖症)克服ファイル4】
今回は30代男性の精神科の医師の方です。
社交不安障害(対人恐怖症)克服ファイルシリーズでは、クライアントさんの体験談とは違った様々な角度から、カウンセラーが実体験を通して色々とお伝えしていきます。
クライアントさんの体験談とはまた違った刺激があると思います。
ですから、克服していくための大きなヒントをつかむことができるかもしれません。
クライアントさんの生の体験談には良いところがあり、このファイルには異なった良いところがあります。
メンタル心理エキスパートでは、このお悩みにおける様々な実例が豊富にありますのでご自分に合った解決法が見つかるかもしれませんよ。
※社交不安障害(対人恐怖症)克服ファイルシリーズは体験談を書いてくれた方の実例ですので許可は得ています。
悩みと症状
まさか私のところに現役の精神科医の方がご相談に来られるとは思ってもみなかったので、最初は正直ビビッていました(笑)
しかし、お話や雑談をしてみると変なプライドとかはまったくなく、とても謙虚で気さくな方だったのでスムーズに進めて行くことができました。
ご相談に来ていただいたきっかけは、彼の地元の本屋さんで私が出版した本が店員さんのおすすめになっていたらしく、心の基礎や自分を変えてはいけないというフレーズに興味を持ってくれてカウンセリングを受けてみようと思ってくれたみたいです。
この方のご相談内容は、対人緊張がしんどいということと、肩と目のコリが長年あり辛いということで訪れて来てくれました。
ここでは社交不安障害(対人恐怖症)を克服していった方のカテゴリになりますので、肩と目のコリについてのカウンセリングセラピー内容は省かせていただきますのご了承ください。
対人緊張のことを具体的に言うと、お医者さんの専門知識などを患者さんにお伝えすることはそれほどストレスではないのすが、休憩時間に集まる場所なので上司や同僚と雑談をする場面になると過剰なまでに緊張してしまい、その時間がかなり苦しいということでした。
さらにカウンセリングを進めて行くと対人緊張につながっているネガティブな思考パターンを探し出すことに成功しました。
「自分が何かを言ったとき変に思われるのが怖い」
「人の価値観に合わせなければいけない」
「自分は理解されにくい存在だ」
上記のような対人緊張とつながっているビリーフが見つかりました。
この3つはお医者さんとしての自分ではなく、ありのままの本人だと言えます。
お医者さんとしての自分を否定されることには、それほど対人緊張はないが、ありのままの素の自分を否定されることを恐れていると推測できます。
決められた専門知識=医師の自分
雑談=ありのままの自分
だから、お医者さんとしての専門知識を持った自分だったら自信はあるけど、ありのままの自分には自信がないと言えるのかもしれませんね。
このように意識では気づいていないレベルで無意識のうちに2人の自分を分けて人と接していた可能性もあります。
社交不安障害(対人恐怖症)になってしまった根本的原因
先ほど出てきた3つのネガティブな思考パターンです。
なぜ彼はこのような価値観を持ってしまったのか、その根本的な原因を検証していきますね。
「自分が何かを言ったとき変に思われるのが怖い」
「人の価値観に合わせなければいけない」
「自分は理解されにくい存在だ」
もしあなたが上記のようなネガティブな価値観を持ってしまったとしたら、人間関係でどんなストレスを感じてしまうと想像できますか?
家庭環境は父親が開業医でイライラすることが多く、いつ怒られるのではないかとビクビクしている。ですから、こっちからは非常に話しかけずらい雰囲気だったそうです。
そして問題は母親です。
「医者になる人間は学年で1番にならないのは頭がおかしい」
「医者の息子は医者になるのが当たり前で医者にならない息子は人間ではない」
といった価値観を強く持っています。
さらに息子の意見を聞かない人でやりたいことをやらせてもらえない環境です。
これを見てもわかるように息子の興味あることには、絶対に認めないという母親です。
仮に興味あることをやりたいと言っても、まったく聞く耳を持ちません。
一方的に母親の価値観や意見を押し付けてくる。
このような家庭環境では条件付けの愛情パターンになってしまいます。
医師になる息子は優秀だけど
医師にならない息子はダメ人間
違った表現をすると
医師になる息子は愛するけれど
ありのままの息子は愛さない
こうやって、母親からの言葉が暗示として息子の潜在意識に刷り込まれていったのです。
まとめると
興味あること=ありのままの自分
ということですから、彼はありのままの自分を母親に否定され続けられたわけです。
その結果として「自分が何かを言ったとき変に思われるのが怖い」「人の価値観に合わせなければいけない」「自分は理解されにくい存在だ」といったネガティブな思考パターンを無意識のうちに思い込んでしまい対人緊張で悩んでしまったのです。
まさしくこの実例は、条件付き愛情パターンの典型的な例です。
▼社交不安障害(対人恐怖症)になってしまった根本的な原因
「医者の息子は医者になるのが当たり前で医者にならない息子は人間ではない」という家庭環境で育ってしまったことで「ありのままの自分は人間としての価値がないんだ」と強く思い込んでしまったことが雑談の対人緊張につながっていると考えられます。
カウンセラーが実際に行ったアプローチ
最初この方が私のところにご相談に来られた時は、2泊3日コースのカウンセリングセラピーだったので、杉田メソッド究極奥義1~3すべてを使うことができました。
杉田メソッド究極奥義1~3
杉田メソッド究極奥義1は、NLP(神経言語プログラミング)を応用して私が独自に開発した心理セラピーの技術です。
1日目の心のオペは対人緊張に関わっている心のテーマを決めてそれに対して、杉田メソッド究極奥義1を行っていきました。
そして、2日目に行っていったのはインナーチャイルドビリーフチェンジセラピー(杉田メソッド究極奥義2)とEFTビリーフチェンジセラピー(杉田メソッド究極奥義3)を使わせていただきました。
彼の場合、子どもの頃の親との関わりが大きな比重を占めて、対人緊張を引き起こしていたと考えられたのでインナーチャイルドセラピーを行っていきました。
そしてさらにカウンセリングを進めて行くと以下のようなネガティブな思考パターンが見つかりました。
「自分の意見がおかしいと思われるのが怖い」
「自分の意見がつまらないと思われるのが怖い」
この恐れをEFTで取り除いていきました。
3日目はNLP(神経言語プログラミング)の技術の一つであるタイムラインセラピーで親子関係に関わる過去のネガティブな記憶を書き換える作業をダメ押しとして行いました。
これで対人恐怖症は完全に克服することができました。
彼の場合は、心理的抵抗はありませんでしたが、子どもの頃に母親から受けたトラウマがかなり深いという印象があったと私は感じていました。
本人は「味を占めてまた来たくなった」と言ってくれて最終的に10回受けてくれました。
6回目からは対人恐怖症は完全に克服できたと言っていましたので、まったく違ったお悩みに対してアプローチをさせていただきました。
やはりそのお悩みも子どもの頃に深く傷ついたトラウマが大きな影響を与えていたのです。
それを想うといくら社会的に素晴らしい立場でお仕事をしていたとしても、親からありのままの自分を受け入れてもらえないと心が満たされなくて、辛い人生になってしまうんだなと実感した瞬間でした。
▼社交不安障害(対人恐怖症)の関連記事
対人恐怖症になってしまった根本的な原因や克服していくために必要なことまで要点をまとめて書いた記事ですので参考にしてみるといいですね。