無気力(うつ状態)を克服された40代男性の体験談

2024年3月12日

【生の声カウンセリング体験談№43】

①性別:男性
②年齢:40代
③所在地:東海地区
④セッション回数:10回
⑤職業:公務員
⑥悩み状況:様々なことを気にしてしまう(視線、言葉、しぐさ)ことでうつ状態に・・・。
⑦悩み歴:小学校低学年の頃から様々なことを気にしてしまう
⑧精神科・心療内科・カウンセリング歴:有り

この方の体験談は、特にうつ状態で無気力に過ごされている方やうつ病になってしまい休職と復帰を繰り返してしまう方。

人の評価を気にしてしまい人の目が気になり過ぎてしまう方。

「~ダメだ」「~しなければいけない」「~するべきだ」といったような完璧主義的な思考の方にお役に立てるかもしれません。

ちなみに以下の題名は本人が望まれたことです。

 

「これでいいのだ」バカボンパパまでの道

働きすぎたあげくうつ病で入院し、退院後は自宅療養。その後、職場に何とか復帰できたものの、幼いころからの出来事で様々な人物が頭の中でグルグル回る状態が続き、毎日が辛くてしょうがありませんでした。

昔から、人の目が気になってしょうがなくて外出するにも抵抗が強かったことや、人からの評価やほんの些細なことが気になってしょうがないことも自分を苦しめていました。

とにかく生きることが苦しくてしょうがありませんでした。

それまで、自己啓発の本やテキスト、心療内科や薬、お経など、様々なものを試してみましたが、まったく変化・効果はありませんでした。

そんな時、ふと訪れた書店で杉田さんの著書を見つけ、「変わろうと努力するから変われない」という一見矛盾したような表現に惹かれ、本を購入しました。そして、杉田さんに連絡を取って、カウンセリングをお願いすることになりました。

まさに藁をもつかむ心境でした。

何度目かのカウンセリングの時です。

「これをやってみますか?」そういってケースから取り出して渡してくれた用紙には、いろいろな欄がありました。「毎日気が付いたところだけ書いてくれればいいですよ。」杉田さんはそう指示してくれました。

実はその時、通院していた心療内科で以前同じようなことをやったことがあったので、内心あまり気乗りがしませんでした。

とりあえず毎日記入して、次回杉田さんのところに持って行ったところ、杉田さんは「これいいですねえ」「これすごいですねえ」といいながら、一枚ずつ丁寧に見ながらコメントをくださいました。以前、心療内科でやった時は、必死で書いたにもかかわらず、ほとんど目を通さずに返されたことがあったので、とてもうれしかったことは今でも覚えています。

今でもこの記録を続けていられるのは、あの時に杉田さんが丁寧に見てくださったことがとても大きいと思っています。

今、振り返ってみてみると、最初は「・・・ダメだ」「~しなければいけない」「・・・が気になってしょうがない」という言葉が並んでいます。それが、1ケ月後くらいから、いろいろと気になることは変わらないけれど、気にしながらも生活できていることに自分で気が付いて、「~があっても生活に支障がない」という言葉が見られるようになりました。

そのままにしておいたら見逃していたような小さな変化や発見を、書き残すということで知ることができるということに気が付きました。そして、その後も書き続けることになります。

体調が悪い日や寝ている日もあるので、その日は記入しませんが、今でもほとんど毎日続けています。

私は朝職場に行った時、仕事の前に、昨日できたことを記入するようにしています。前の日がどんなに調子の悪い日でも1つぐらいできたことは見つかるし、「あの状態でもこれができたんだ。それでいいんだ。」という気持ちで1日の仕事をスタートできるからです。最初はその日の夜、一日を振りかえって記入していましたが、私には次の日に記入する方がいいみたいです。

人から「変わった」「変化した」と言われても、「そうかなあ」「そんなことはない」と思ってしまうのですが、自分で記録をつけて残しているので、私にはこの記録の方法がいいようです。文字に残す。それを自分で確認する。この作業がいいようです。

このように、できたことを書いていくと、毎日続けてできていることが見つかってきました。そのうちに、毎日続けてできていることの内容についてのコメントが書かれるようになってきました。読みかえしてみると、「なかなかできているんだな」「今まで気がつかなかったけれど、これはすごいことかも」と思うようになりました。

それでも、嫌なことや落ち込むことは減りません。でも、私は人に対してのハードルや、自分に対してのハードルが高すぎて、それがイライラや落ち込む原因だということにも気が付くようになりました。

ただ、ハードルが高すぎるということには気がついても、ハードルを下げることは難しく、これはきっと親の教育の影響だろうと思うのです。そこで100円ショップでくまのぬいぐるみを買って、ポケットに入れながら持ち歩き、取り出しては「いままでつらかったなあ」と声をかけるようにしています。

これは杉田さんの「ぬいぐるみワーク」です。

仕事に関しても、期限ぎりぎりでなんとか間に合わせるということは自分には向いていない、カッコ悪いかもしれないけれど、準備を早めにしておくことが、そのあとゆっくり生活できるということにも気が付きました。周りからからかわれることもありますが、しっかり準備をしておいた方が、誰でもない自分自身が楽だと気がついてから、それほど気にならなくなり。気分的に余裕がもてるようになりました。

また、「あの人は俺をどう思っているのだろう。」「あの人は俺のことを悪く言っているのだろう。」そんなことが気になってしょうがないと、記録には残っています。自分なりにいろいろと対処法を考えて挑戦していましたが、あまり変化は見られませんでした。ところがある日の記録に、「すべての人に嫌われているということにする。そんな職場で仕事をして、昼飯を食ってお茶を飲んでいられる俺は、もしかしたらすごいかもしれない。」と書いてあります。それから、ずいぶん楽になったような感じです。

杉田さんに、「もっと不安になってください。まだまだですよ。もっと不安になってください。不安が足りませんよ」と言われたことがありました。温厚な杉田さんに言われて、どうしようと思いましたが、言われても言われてもそれ以上不安になれなかったことがありました。

このことを自分で応用したのかもしれません。「もっともっと嫌われればいい。」「まだまだ足りない。」「心配しなくてもいい、もうすでに全員に嫌われている。」そう決めつけて生活してみたら、なぜか「嫌われているかもしれない」「嫌われたらどうしよう」と考えなくなりました。

理想の自分を書いている記録もありますが、読み返してみて、すべて親や自分が勝手に作った、絶対にできもしない自分であったこともわかりました。そして記録には、「毎日生活できている自分が理想なのだ」と書いてあります。つまり、このオドオドびくびくしている自分が理想の自分だったようです。

こんな自分が理想だなんて驚きです。

それから、どこにいても、「ここは俺のいるところじゃない。」「この人たちとは一緒にいたくない。」「この場所から離れていたい。」そういう記録もあります。それじゃ楽になれるのはいつなんだ?どこなんだ?と考えたら、私の場合、それは沖縄でした。じゃあ、ここを沖縄にすればいい。できませんが。「ここを自分の中で沖縄にすればいい」と書いてあります。

今のこの場所をパラダイス、リゾートにする工夫をすればいいということかもしれません。私は職場で沖縄の歌を歌っています。(小さな声で・・。) 毎日記録を書いていて、「毎日それほど悪くないということは、もしかしたら、今までもそんなに悪くなかったんじゃないか。」と気が付き、書き出してみました。書いてみると、そこそこいいことも思い出せました。と、同時に、今まで、自分に満足したことがなかったことに気が付きました。「これじゃダメ。」「まだダメ。」「おれはダメ。」「これをやってはダメ。」「これをやらなくてはダメ。」「満足してはダメ。」こんな感じだったのです。

「何をやっても、どこまでやっても、いつまでも決して満足しない人」と、「こんなのでいいの?と思うくらい適当だけど、自分に満足している人」。前者は立派かもしれないけれど、後者でいいんじゃないか。自分に楽な方を選ぶことにしました。

この年になって自分に満足する練習を始めることにしたのです。

自分に満足する練習の時のキーワードは「これでいいのだ。」です。古いフレーズですが、天才バカボンのバカボンパパの口癖です。何があってもこれでいいのだ。良くても悪くてもこれでいいのだ。「自分は成功してもいいのだ。」「でも失敗してもいいのだ。」「びくびくしてもいいのだ。」「落ち込んでもいいのだ。」「いじけてもいいのだ。」「嫌われてもいいのだ。」「俺はこれでいいのだ。」「自分に満足していいのだ。」と言い聞かせることにしています。

まだまだ、うまくいかないことの方が多い日が続き、記録には嫌なことも目につきますが、「うまくいかなくてもいいのだ。」と考えて、とにかく365日は続けるつもりです。1年後、どう変わっているか楽しみです。1年たてばきっと何か変わっているはずです。でも「変わっていなくてもいいのだ。」です。

変化に気がついてからは、書くことに抵抗はなくなりましたが、変化に気が付くまで続けられたのは、杉田さんが一枚一枚本当に時間をかけて丁寧に見てくださって、「これスゴイですよ」「これは今までなかったことですよ」と具体的にその言葉を指摘して、私に変化を気づかせて下さったからです。

すぐに効果の出る方法ではないかもしれませんが、今の私には最高の方法だと思っています。これまでいろいろと試してきて、ここまで続いたのは初めてです。

これからも、いろいろなことに気が付くような気がします。とにかく、記録していこうと思います。

本当にありがとうございました。

平成のバカボンパパでした。

 

うつ病を克服されたこの方の杉田談

この方は合計10回のカウンセリングを行いましたが、最初の頃は短期間で解決可能な感情にアプローチするセラピーを行いましたが、思ったほど効果的ではなかったので途中から思考中心の認知療法に変えたのがとても良かったです。

本人が言っている通り「文字に残す。それを自分で確認する。この作業がいいようです。」

まさにこの方にとっては、認知療法によるビリーフチェンジのやり方が最高の心理療法だったんですね。

それとなんといっても完璧主義であるがゆえに真面目に毎日実践されたその努力の賜物です!

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記事の担当者

この記事は代表の杉田義晴が長年のカウンセリング・セラピー経験と実績を元にして書いています。
カウンセラー杉田のプロフィール
 

Posted by expert44